第12回都市人類学研究会

 先日のアバ研にご参加いただいたみなさま、お疲れ様でした。
古典・それも都市計画史のテキストということで、
ロバート・ホーム 『植えつけられた都市』をとりあげました。

いつもと毛色がちがう内容でしたが
植民都市の歴史的経緯(とくに伝染病感染源=先住民という感覚!)や
グランドデザインの先進国へのフィードバックなど
フィールドワーカーが都市で直面する事態の
「抵抗」や「日常的実践」の発生する背景がぐっとクリアになった印象を受けました。
都市社会学の分野ではよく参照される部分でもあり
なかなか歯ごたえのある回だったのではないでしょうか。

 さて、次回のアバ研の詳細をお伝えします。
なかなか時間がとれず告知が遅くなり申し訳ありません。

今回のテキストは、倉沢愛子編 2007
「都市下層の生活構造と移動ネットワーク――ジャカルタ、東京、大阪、サン・クリストバルのフィールドワークによる実証」明石書店です。

実践のテキストとしてとりあげます。
論文集になっていますので複数の事例を追うことができます。

★著者

 倉沢愛子[クラサワアイコ]
1970年東京大学教養学部卒業。同大学院社会学研究科ならびにコーネル大学大学院博士課程修了。慶應義塾大学経済学部教授。大学在学中から日本占領期のインドネシア史を取り上げ、コーネル大学で博士号を取得。博士論文『日本占領下のジャワ農村の変容』は草思社から、1992年出版され、サントリー学芸賞を受賞。近年は視点を現代インドネシア社会に移し、開発政策の中で変容していく庶民の生活を分析、研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

★要旨

 都市の下層社会の形成と住民の生活構造について、インドネシア、メキシコ、日本の異なる構造をもった3つの国のケースをとりあげ、開発とともに変容してゆく伝統社会のメカニズム、一方で発生する諸現象、共通する問題を探求しながら生活のありようを実証的に論ずる。

★目次

まえがき(倉沢愛子
1 外来者の流入と都市下層社会の変容
  ――ジャカルタ南郊の集住地区の事例(倉沢愛子
 1 植民地都市ジャカルタの変容
 2 調査地レンテン・アグンの歴史的背景
 3 「開発」の開始と外来者の流入
 4 住民のプロフィル
 5 地域社会における外来者の地位
 6 故郷との絆――外来者二〇名の調査から
 おわりに
 付録 調査質問票
2 変容のなかのパサール(伝統的市場)
  ――ジャカルタ南部L市場から(内藤 耕)
 1 ジャカルタのパサール
 2 ジャカルタ南部L市場
 3 L市場の常設店店主たち
 4 管理され得ぬパサールとカキリマ
 5 まとめ
3 都市下層の生活構造と社会的位置の変容
  ――近現代の日本における貧困の性格変化(中川 清)
 1 異質な生活世界への関心
 2 近代の貧困概念の形成と展開
 3 貧困対策の実施状況と都市下層
 4 「中流社会」と貧困把握の変化
 5 多元化する貧困と社会生活
4 ひさぐ野宿者、もがく野宿者
  ――地位隔離と意味世界(青木秀男)
 1 日本の野宿者
 2 野宿者への道
 3 野宿者の隔離
 4 仕事の意味
 5 境遇の意味
5 離村インディオ流入と都市エスニシティの変容
  ――サン・クリストバル市の事例から(清水 透)
 1 チアパス高地の社会関係の変化
 2 植民地的(コロニアル)フロンティアの消滅
 3 都市インディオ性の形成
 4 サン・クリストバル市における新たなフロンティア


▼以下、詳細のご確認をお願いいたします。

〈第12回 都市人類学研究会〉

◆開催日時 5/31(火)18:30〜21:00頃まで

◆テキスト
 倉沢愛子編 2007
 『都市下層の生活構造と移動ネットワーク』明石書店


◆内容 各自が同書を精読し、ディスカッションを行う。

◆場所 京都大学人間・環境学研究科 演習室333(3F) を予定。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_ys.htm

 ※ご参加されるかたはお手数ですが、左のメールフォームからご連絡をお願いします。